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吉野スギ・吉野ヒノキは、昔から全国に知られる高級ブランド木材。吉野材のいったい何が違うのでしょうか。スギやヒノキなど針葉樹は香りが良く、香りの成分に虫などを寄せつけない働きがあるとされますが、吉野スギにはさらにどこか馥郁とした甘さが漂い、上品なピンク味を帯びたツヤがあります。節が無く、年輪が細かく均一なため、とくに柾目に仕上げたとき木目がストライプ状に整って吉野スギの美しさが際立ちます。吉野ヒノキもまた木肌がたいへん細やかで、落ち着いた白さのなかに穏やかな赤みを帯びた美しさがあり、その色艶、風合いは年月を経るほど、かえって趣きを増して行きます。吉野材は年輪の目が込んで丈夫なため、構造材としても強度に優れていることも特長です。 なぜ、この超一級の木材を提供できるのか。それはここに「吉野林業」というシステム技術があったから。吉野ではスギもヒノキも、野生の森で育ち放題にするのではなく、苗木づくりから伐採するまで、丹念に造り込んだ美林で一本一本を育て上げます。しかも、一般的な人工林の何倍もの手間をかけ1ヘクタールあたり1万本近い密植を行い、成長するにつれて間伐を何回も繰り返し100年近い森林に育てます。太閤秀吉が吉野材を用いて大阪や伏見の城を築き、灘や伊丹の酒造元では香りの良い吉野スギを酒樽に重宝してきました。その樽丸づくりで生じる端材の活用からはじめた吉野スギ箸もまた、高級割箸として食膳を彩っています。 千三百年の歴史をもつ吉野の手漉き和紙は、『やわらかな自然の美しさ』と、強くて虫がつきにくいといった実用性を併せ持つことから古文書や美術品の修復など、国内外の文化人、アーティストたちにも広く活用されています。「…彼の目を惹いたのは、此処彼処の軒下に乾かしてある紙であった」と谷崎潤一郎の代表作『吉野葛』に登場する吉野の国栖地方では、天武天皇(大海人皇子)が里人に教えたという伝統の和紙づくりがいまも受け継がれています。 吉野川の清らかな水の中で原料のコウゾを晒し、吉野の白い山土を隠し味のように混ぜ合わせ一枚一枚丹念に手で漉き、天日に干す。霧の深い谷間に育つウツギの木も和紙に強いねばりを与えてくれる貴重な自然…。いま吉野では3種類の和紙が漉かれています。掛け軸など美術品の修復に使われる「宇陀紙」、表装の裏打ち紙などに使われる「美栖紙」、薄く繊細な美しさがあり漆濾しに使われる「吉野紙」。さらに草木で染めたものや、吉野スギの樹脂とコウゾをまぜて漉き上げた吉野スギ皮和紙などがあり、風合い、色合い、手触りに、吉野ならではの自然が表情豊かな個性ある美しさを表現しています。
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